CFOとCIOは同じボートを漕いでいる仲間といえます。しかし、ビジネスの成功という目的地は共通していますが、優先順位が異なるため、時にはそれぞれが異なるペースで、あるいは異なる方向にボートを漕ぐこともあります。さらに、それぞれが「異なるポジション」に座っているため、他のポジションからは見つけづらい障害物や機会を発見することができます。
400人以上の北米のCFOとCIOを対象にCensuswideが実施した最近の調査によれば、回答者の72%が、CFOとCIOの関係が強化され、それが直接業績につながった、または業績に貢献したと考えています。このことは、CFOとCIOの強力なパートナーシップは、単に同僚とうまくやっていくことではなく、組織の収益を直接的に押し上げる可能性があることを示しているのです。
その一方で、調査では優先順位の不一致も見られました。特に、コストの柔軟性やリスクを重視するかイノベーションを優先するかの違いは、CFOとCIOの関係を緊張させ、成長とイノベーションの妨げとなる可能性があります。全体的なゴールは共通しているものの、ビジネスとITがそれぞれお互いの優先順位とずれた意思決定をしている可能性があり、それが組織の発展を遅らせているのです。
Censuswideの調査結果から、ビジネスリーダーとITリーダーがどのように関係性を強化できるかについて、4つの主要な洞察をお知らせします。
2024年における最も重要なゴール
2024年にビジネスを改善するための最も重要なゴールを尋ねたところ、CFOとCIOの回答には顕著な一致が見られました:
- CFOは、成長(30%)、収益性の改善(24%)、リスク削減(23%)を最優先目標としています。
- CIOは、成長(28%)と収益性の改善(28%)が同率で、リスク削減(25%)、テクノロジーの改善(25%)が続きます。
この場合、両者はほぼ完全に一致した姿勢でボートを漕ぎ出していますが、どちらかが認識している改善の機会を、もう片方が見逃している可能性があります。ビジネスリーダーとITリーダーは、ビジネスを成功に導くための全体的なビジョンを共有していますが、CFOは、そのビジョンを達成するためにテクノロジーが果たす役割を過小評価している可能性があるのです。
洞察
CIOが技術的な改善を重要視している一方で、CFOにとってこの問題はトップ3にも入っていないことから、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが遅れる可能性があります。CFOは、テクノロジーは単なるコストセンターではなく、組織の成長と収益性を実現するための重要な手段であることを考慮すべきです。特に、既存のIT投資を最大限に活用することで、柔軟性とコスト削減を実現し、それをイノベーションや成長のための資金として活用することができるのです。
なぜCFOとCIOの関係は深まったのか?
調査結果によると、CFOとCIOは協力を重視する一方で、その改善の動機は異なっていました:
- CFOは、セキュリティ、コンプライアンス、リスクに重点を置くことでパートナーシップが高まったと回答(46%)しました。
- CIOは、機動的な技術的意思決定を行うために協業することが急務となったためと回答(42%)しました。
CFOはリスクとセキュリティの懸念を管理する必要性に駆られているのに対し、CIOは迅速なデジタルトランスフォーメーションを実現するための意思決定の俊敏性に関心を持っていました。情報に基づいた迅速な技術的意思決定が可能であることは、セキュリティ問題に対処する上で重要な利点となり得るからです。
洞察
お互いの動機を考慮することで、リーダーは互いに助け合い、組織のレジリエンスとアジリティの 両方を高めることができます。相補的な目標を強調すれは、CFO と CIO は、今後の協力関係において、互いのパートナーシップをさらに向上させることができます。今回のケースでは、両者ともボートを力強く漕ぎ出していますが、次回はさらに大きな力で漕ぎ出すことができるよう、互いに助け合うことができるのです。
なぜCFOとCIOの関係が悪化したのか?
調査結果ではCFOとCIOの関係の改善を示していますが、逆に悪化したケースもあります。皮肉なことに、関係が悪化した理由については、経営幹部たちの見解はほぼ一致しています。
- CFOは、コスト削減の方法を特定する柔軟性の欠如を非難しました(35%)。
- CIOは、コスト削減の柔軟性の欠如については同意しましたが(36%)、スピード感の欠如に苛立ちを覚えています(36%)。
両リーダーは、厳格な財務管理に対する不満を共有する一方で、CIOは意思決定の遅さに苛立ちを感じています。これは、CIOがCFOとの迅速な意思決定によってパートナーシップが向上したと感じている調査結果を反映しています。良くも悪くも、CIOはテクノロジーに関する意思決定を迅速に行うことに大きな価値を置いていますが、これは、財務規律を重視するCFOの優先順位と衝突する可能性があります。
洞察
デジタルトランスフォーメーションの時代には、コスト削減とテクノロジー導入の緊急性の間でバランスの取れたアプローチを見つけることが重要です。ボートを漕ぐスピードが遅すぎたり、速すぎたりすると、イノベーションと成長という目的地に向かってスピードアップするどころか、堂々巡りになりかねないのです。
同じツールを異なる目的で使用すること
最後に、ビジネスリーダーとITリーダーの間でずれが生じている重要な分野のひとつが、ビジネスケースの使用でした。
- CFO は、提案された投資案件を相互に比較する際に、一貫したフレームワークを提供するためにビジネスケースを使用しています(37%)。
- CIO は、プロジェクトが ROI に関する所定の指標を満たしていることを確認するためにビジネスケースを使用しています(40%)。
CFOは、その財務監督の役割に基づき、ビジネスケースを使ってさまざまなテクノロジー投資を比較します。一方、CIOは個々のプロジェクトのROIを判断するためにビジネスケースを使用します。同じビジネスツールを異なる目的で使用する場合、足並みが揃わなければ摩擦が生じる可能性があります。
洞察
ビジネスケースへの一貫した統一アプローチを決定するため、お互いが協力することで、経営幹部は意思決定を合理化し、対立を減らし、テクノロジー投資を加速させることができるようになります。ボートで言うと、1つのオールを漕ぐために使い、もう1つのオールを舵として使うのはあまり意味がないのです。特に、どちらのパートナーももう一方のパートナーに計画を伝えていないのであればなおさらです。
荒波をもっとスムーズに進もう
北米全土のCFOとCIOを対象とした調査結果は、優先事項、戦略、懸念事項について一致させることで、ビジネスリーダーとITリーダーは、現代ビジネス界の激動する課題に立ち向かう準備を整えることができることを示しています。
リミニストリートは、20年近い経験をもとに、卓越したコスト削減、柔軟性、リスク軽減を実現する専門的なサードパーティサポートとサービスを提供しており、戦略的パートナーとして、CFOやCIOがそのような荒波を乗り越えるための経験豊富なガイドになることができます。
ミニストリートのサポートにより、テクノロジーと財務のリーダーシップは、デジタルトランスフォーメーションの推進とROIの最大化に不可欠なコラボレーションと連携を達成することができます。そしてそれは、激動するビジネス界と言う荒波で迷子になるか、成功に向かって航海を続けるかの違いを意味します。
- 世界中の約3,000人のCFOとCIOが、新たなテクノロジー、セキュリティリスク、ROIの要求といった現代のビジネス課題にどのように取り組んでいるかについては、Censuswideのレポート全文をご覧ください: 「経営幹部の必須要件:進化するITと企業投資(グローバル版レポート)」