経営幹部3000人が考えるIT部門と 関係部門のこれからの在り方 見えてきた共通の課題と今から始める 戦略的アクションの数々

代表取締役社長 脇阪順雄
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経営幹部3000人が考えるIT部門と 関係部門のこれからの在り方 見えてきた共通の課題と今から始める 戦略的アクションの数々

変革期のIT戦略とCFO・CIO連携の未来

現代のビジネス環境は、政治、経済、テクノロジーなど、多くの変化要因に取り巻かれています。この複雑な状況において、企業が持続的な成長を遂げるには、経営とテクノロジーの間にある「ギャップ」を埋めることが不可欠です。リミニストリートとコンサルティング企業Censuswideが共同で実施した、経営幹部3,000人を対象としたグローバル調査は、このギャップに関する重要なインサイトを示しています。

本記事では、その調査で明らかになったCFO(最高財務責任者)とCIO(最高情報責任者)の関係性や、企業が直面する課題、そして戦略的なアプローチについて掘り下げます。

CFOとCIOの「理解の溝」

調査によると、日本企業のCFOとCIOの間には依然として「理解の溝」が存在します。CFOの視点では、「IT投資が経営戦略の成果に直結していない」という不満が80%以上に上ります。一方で、CIOは「CFOがテクノロジーの可能性を理解していない」と感じている割合が高いことが分かりました。

この溝を埋めるために必要なのは、両者が互いの専門分野に対する知識を深めるだけでなく、共通のゴールを設定することです。特に、日本では「迅速な意思決定」や「ROI(投資対効果)の明確化」が求められており、グローバル平均よりも強い課題感が浮き彫りになりました。

DX(デジタル変革)の本質とは何か

CFOやCIOが注目すべきポイントは、単なる技術導入ではなく、「企業価値を高めるデジタル変革」です。多くの場合、既存システムをスクラップ&ビルドする必要はなく、AIやアナリティクスといった要素技術を組み合わせることで実現可能です。むしろ、現行のIT環境を基盤として、新しいプロセスを統合する形が効率的であるとされています。

未来に向けて:経営とITの新たな連携モデル

変化の激しいビジネス環境において、経営陣がどのようにITと連携し、持続的な成長を目指すべきかが今、問われています。の最後に、経営陣が注目すべきテクノロジーとして、「セキュリティ」「収益性の向上」「環境持続可能性(SDGs)」を挙げました。これらは単なるコスト削減や効率化の手段ではなく、企業がグローバル市場で戦うための重要な武器となります。

調査によれば、ERPが企業にもたらす価値について、世界的に期待値が低下していることが分かりました。日本では特にその傾向が顕著で、多くの企業がERP導入の初期段階では一定のリターンを得たものの、現在では「ROIを見込めない」という見方が広がっています。一方で、日本のCFOたちはセキュリティや顧客体験(CX)といったテーマがデジタル投資で最も大きなリターンをもたらすと考えており、クラウド化やIoTについては依然として伸びしろのある分野とされています。

さらに、日本ではSaaSやクラウド化の進展が他国に比べて遅れている一方で、第三者保守サービスの採用率が高いという特徴が見られました。これは、既存システムを活用しつつ、新しいデジタル技術を導入する柔軟性を確保する戦略的アプローチの一環と考えられます。

日本企業が直面する課題を解決し、グローバル競争で勝ち抜くためには、CFOとCIOが互いの領域を理解し合い、密接に連携することが不可欠です。変化の時代において、両者の協力がもたらす「真のDX」が、未来の成長を支えるカギとなるでしょう。

IT投資の再考:90/10の法則を見直す による別の調査によれば、 企業のIT予算の90%が既存システムの維持運用に使われ、新しいビジネスへの投資はわずか10%に留まっています。この偏ったリソース配分は、企業の競争力を削ぎかねません。

ウェビナーでは、予算配分を「60:40」に再構築することで、経営陣が求める成果を生み出す可能性について触れました。例えば、堀場製作所ではリミニストリートのサポートを活用し、既存のERP(基幹業務システム)を最大限活用しながらも、新たな成長戦略にリソースを振り向けることができた成功例が紹介されました。
Gartner Inc.. IT Key Metrics Data 2024: Industry Measures — Executive Summary,. 2024. (Gartner Research).https://www.gartner.com/en/documents/5014331, (2024.11.19)

IT投資を見直すことは、CFOとCIOが共通の目標を掲げ、緊密に連携することから始まります。変化の激しい時代において、ITを単なるコストではなく、成長を加速させる戦略的な武器へと再定義すること。それが、未来への競争力を切り拓くための真の出発点です。

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