長年にわたり、ITには明確に定義された責務がありました。重要なビジネスシステムを継続的に稼働し、費用を管理し、セキュリティとコンプライアンスの要件を満たすことです。現在でも、御社のIT予算の大半はおそらく既存業務継続に費やされていることでしょう。しかしこうした従来型の重点方針では、デジタル・トランスフォーメーションによって可能になるカスタマー・エクスペリエンスがますます重視される時代から、組織は取り残されることになります。
ITの役割は急速に変化し、より顕著になりつつあります。主に既存業務の維持から、テクノロジーを変革ツールとして活用した事業目標達成に向けた会社支援へと、主要優先順位をシフトすべきです。カスタマー・エクスペリエンスの改善や新規事業モデルの実現等の戦略を通じて、事業成長、マージン増強、グローバル化に重点を置く動きは、成功しているITチームの間でかつてないほどに高まっています。
CEOは常に、事業成長を最優先事項に掲げます。今やCEOは頻繁に、事業成長達成に向けた最優先事項としてデジタル・イノベーションを挙げます。デジタル・トランスフォーメーションには多くの新たな課題が伴いますが、心躍るようなチャンスも生まれます。CIOは、現状維持から実験とイノベーションへの徹底的な重視へと発想を広げなければ、事業をデジタル変革と成長に導くことはできません。まずはこうした新しいデジタル・イニシアティブへの投資資金を確保しなければ、何も達成できません。
予算がビジネスの足かせに?
予算不足によって事業変革のチャンスが妨げられることは、珍しくありません。調査会社Vanson BourneがDell Technologies向けに4,000社を対象に行った最近の調査では、デジタル・トランフォーメーションの最大の障壁が予算と資源の不足であることが明らかになりました。
調査によると、回答者10名のうち約8名が、デジタル新興企業が現在または将来的に自社にとっての脅威となっていると回答しています。こうした機転のきくライバル起業は機動力に優れ、データをより有効に取り入れ、スマートテクノロジーの導入も他社に先んじていると、調査回答者は考えているのです。
新興企業に遅れを取らず防御態勢を固めるため、組織は顧客エンゲージメントと顧客満足を最優先課題に掲げています。また、モビリティやソーシャルメディアの重視や、情報に基づく意思決定に向けたデータ活用の動きもますます広がっています。
デジタルがもたらすチャンスは目に見えているものの、組織全体でうまくいっていると答えた調査回答者は32%にすぎません。
従来型モデルにとらわれている?
IDCによると、組織が既存システムに費やす額は、IT予算の90%に上ります。これでは、事業変革や新たなデジタル・イニシアティブの推進予算はほとんど残りません。業務用の堅牢で安全なプラットフォームの確保は、ITチームにとって現状維持の必須条件(テーブルステークス)ですが、既存システムとそれに伴うレガシーベンダーのビジネスモデルにIT資源の大半が費やされ、デジタル・トランスフォーメーションへの必要投資を妨げているのが実状です。
現状維持が原因でイノベーションの予算が制限され、事業目標達成の足かせになっているとしたら、費用をコントロールして勢いを取り戻すにはどうすればよいでしょうか?IT予算を大幅に削減できる分野として、保守やサポート料金を含めた、ERPシステム維持のための従来型のレガシーソフトウェアのベンダーモデルが挙げられます。
デジタル・トランスフォーメーションの資金を確保できるよう、OracleやSAP等の大手ERPベンダーのエンタープライズソフトウェアの維持にかかる総保守費用や関連ROIを徹底的に見直してみてはどうでしょうか。総費用を本当の意味で理解するには、保守費用の検討だけでは不十分です。保守費用は通常、前払いのライセンス費用の22%ですが、支払いは毎年発生します。従来型のERPプラットフォームでは、費用がかかる継続的なアップグレードや、効率の悪いソフトウェアベンダーのサポートモデルの関連費用(カスタマイズコードや、画一的なサポートモデルのサポート費用を含む)も必要になります。総保守費用は保守料金の2倍近くに達するため、年間保守料金は氷山の一角にすぎません。
保守に適切に対応すれば、年間サポート料金を半額に抑えられるだけでなく、費用のかかる製品アップグレードを遅らせたり回避してさらなる経費削減をはかり、貴重なIT資源をより重要な優先項目に充てられます。こちらのオンライン計算機で、すぐに節約額の見積もりを確認できます。
迅速なイノベーション能力がカギを握る
イノベーション・アジリティは、トランスフォーメーションの実現に向けた有効な戦略です。迅速にイノベーションを進めれば、コアITシステムを最適化して人材、資金、時間等の資源を解放し、さらなるスピード感を持ってイノベーションを推進できます。その結果、御社の事業に最も直接的な影響を直ちにもたらすイニシアティブに、資源を再投資できます。迅速に行動せずに、レガシーベンダーから新たなERPプラットフォームが出るのを待ち、まだ実績もないこうした将来のシステムの再実装に巨額を費やしていては、デジタル世界で競争に取り残されてしまいます。
今すぐに、最適化された資源を活用してデジタル・イニシアティブに積極投資すれば、イノベーションを最優先に推進し、つかみどころのない「デジタルコア」をまず完成させるという不毛な作業にとらわれずにすみます。すでに堅牢な記録システムの再実装やアップグレードにではなく、顧客、従業員、パートナーに対応するエンゲージメント・システムに影響を及ぼす箇所にデジタル投資を集中させてください。
業界アナリストは、ハイブリッドなIT構成設定で、クラウド、ソーシャル、モバイル、IoT、解析等の新たなデジタル投資と併せて成熟したERPアプリケーションを管理することを、頻繁に推奨しています。ハイブリッドなITアプローチは、コアのERPアプリケーションが備える堅牢な基盤と、競争力向上に今すぐ必要な革新的なデジタル投資を統合した、両分野を最大限に活かすアプローチです。
IT予算が現在の課題対応の足かせになっているとしたら、それは御社に限ったことではありません。正しいアプローチでIT最適化を進めれば、ビジネスを推進し、デジタル・エコノミーの潜在能力を解き放つことができます。イノベーションを起こすなら、今がその時です。